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1998 年度 実績報告書

移植用肝臓の高圧・非凍結氷点下保存法の開発に関する実験的研究

研究課題

研究課題/領域番号 09877248
研究機関北里大学

研究代表者

柿田 章  北里大学, 医学部, 教授 (90109439)

研究分担者 阿曽 和哲  北里大学, 医学部, 助手 (00159401)
佐藤 光史  北里大学, 医学部, 助教授 (40118815)
高橋 毅  北里大学, 医学部, 講師 (70245405)
キーワード肝移植 / 臓器保存 / 肝臓 / ラット / 高圧 / 不凍水 / 氷点下 / 過冷却
研究概要

肝臓は酵素・エネルギー代謝の観点からは保存温度の低下により保存時間の延長が期待できる。今年度は保存液を加圧して過冷却状態を維持、それにより肝臓を氷点下で非凍結保存する方法についての基礎的実験のうち、肝臓の加圧耐容性と加圧保存後の移植成績について評価した。
【実験方法】ラットを用い、鎌田の方法に従って肝移植を行った。肝臓の潅流・保存にはUW液を用いた。肝の加圧冷却は、加圧装置HPV-80c20-s(スギノマシン、富山)に高圧配管で保存用容器を接続、これを不凍液を循環させた冷却水槽に浸漬して行った。肝臓の圧耐容性の評価としては、実験(I)では、加圧速度0.5MPa/secで70、50、40、30MPaに加圧(0℃・1hr)後に移植する群、実験(II)では30、20、10、5Mpaまで加圧、-2℃で6時間保存後に移植を行う群を設定、それぞれ移植後2週間生存と肝臓の形態学的変化を検討した。
【結果】実験Iでは40MPa以上の高圧群は全例移植後24時間以内に死亡、30MPa群は全例2週間以上生存した。実験IIでは、20MPa群以上では全例死亡、5MPa群では全例2週間以上生存した。死因は出血と肝不全であった。死亡群では圧依存性に肝の組織構造破壊と細胞破壊が観察された。電顕的には肝細胞内の空胞変性やミトコンドリアの変性、粗面小胞体の減少や滑面化、内皮細胞剥離、類洞壁破壊や細胞間離開が特徴的であった。
【考察】実験結果は0℃1時間保存では肝臓が30MPaの加圧に耐えて移植後も機能することを示した。形態学的には、肝臓の傷害が主に加圧・減圧速度依存性の組織構造破壊と絶対圧・暴露時間依存性の細胞破壊の2つの要素からなることが示唆された。5Mpa・-2℃・6時間保存で移植後生存率が100%であったことは、肝臓の加圧・非凍結氷点下保存法の実用化の期待を大きく示唆するものと考えられた。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 高橋 毅: "移植用肝臓の高圧・氷点下保存法の開発:肝臓の加圧耐容性に関する基礎的研究" 日本消化器外科学会雑誌. 32(2). 766 (1999)

  • [文献書誌] 高橋禎人: "加圧過冷却保存における肝臓の可移植性に関する実験的研究" 日本外科学会雑誌. 100(増)(In press). (1999)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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