研究概要 |
現行の静脈栄養に関する栄養素の投与量がはたして適切か否かに関して再検討した。 1)200g前後の雄性Wistar系ラットの頸静脈にカテーテルを挿入してTPNをおこなった。TPN中、ラットはmetabolic cage内にて水分は自由摂取とし、swivelにて自由行動とした。TPN組成はブドウ糖167(g/l)、アミノ酸33(g/l),TG 670(g/l)、PL 4.0(g/l),GL 7.5(g/l),N 5.5(g/l),総熱量5.4(Mcal/l),5.4(MJ/l)とし、投与量(kg BW/日)はA群熱量1.4(MJ),1.02(nonprotein MJ),N 1.4(gN),B群熱量1.7(MJ),1.47(nonprotein MJ),1.7(gN)とした。 2)TPN開始3日後に、ネンブタール麻酔下に背部に20%、3度熱傷を作成、以後、5日間にわたり種々の検索を行った。 3)熱傷後、A群で安静時エネルギー消費量(REE:J/時間/g)は正常時21±1.2から熱傷1日28±2.1に、B群で29.3±1.9に増加した。以後さらに3日目まで両群とも32±2.4前後にまで増加し、以後安定化した。REEは熱傷に伴い両群とも最高で17〜19%増加したが、両群間に差異を認めなかった。 4)総窒素(mgN)排泄量はA群で熱傷前238±28.3から熱傷後278±31.4〜262±28.9と増加し、B群で熱傷前246±33.4から熱傷後291±36.4〜277±29.2と増加したが、両群間に有意差を認めなかった。 5)窒素平衡は熱傷1日に両群とも-1.6±0.02,-1.9±0.02に低下したが、以後回復し、第5日には術前値の86%、91%にまで回復した。
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