研究概要 |
昨年度検討した側頭葉てんかんの微小病変14例の病理組織学的診断はcortical dysplasia(CD)とdysembryoplastic neuroepithelial tumor(DNT)であった.これら病変に共通してみられるのはCDを基盤に多様なglia,neuronの変化,変性所見が認められたことである,今年度はさらに症例を重ねCDのgrading (Palmini,Mischelら)と海馬硬化のGrading(Watson,Wylerら)を行った.対象は1982-1997年に手術が行われた32側頭葉てんかんの微小病変.病理組織学的診断ではDNT 11例,ganglioglioma 2例,astrocytoma 3例,CD 16例であった.CDのうち11例は海馬硬化に関しても検討した.これら全例にcortical dyslamination,heterotopic white matter neuronといったPalminiの提唱するCD grade I,IIの所見が認められた.また全例にreactive astrocytosis(ghiosis)も認められた.他にastrocytoma,gangliogliomaの特徴を部分的に合わせ持つ症例も存在した.海馬硬化に関しては7例でgrade I,IIのsclerosisの所見が認められたが,明らかなsproutingが認められた症例はなかった.またCDと海馬硬化のgradingには明らかな相関は認められなかった. 側頭葉てんかん病変では,高磁場MRIなどの出現により,海馬硬化以外にも側頭葉微小病変の存在(dualpathology)が注目されている.そのepileptogenesisに関してはいまだ議論はあるが,側頭葉周辺皮質のCDと多様なglia,neuronの変化が全例で認められた点で興味深く,今後も検討していく予定である.
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