研究課題/領域番号 |
09877279
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
福永 篤志 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10265829)
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研究分担者 |
近藤 新 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20276273)
原 晃一 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60255479)
内田 耕一 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00176687)
河瀬 斌 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40095592)
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キーワード | 神経幹細胞 / 脳内移植 / 脳梗塞 / 脳血流 / 運動能 |
研究概要 |
本研究は、移植という手技を用いて脳梗塞によって失われた機能および能血流を回復できるかを検討することにより、脳梗塞に対する外科的治療の確立を追求するものである。したがって、研究の焦点は、1)移植片-宿主間の解剖学的・生理的神経回路網再構築の確認、2)移植片内における血管新生および血流供給、そしてpenumbra領域の血流回復、3)移植された実験動物の運動能の回復にある。これらの点を解明すべく、胎生10.5日ラット中脳胞部神経板組織を摘出直後に、小泉-Longa法にて作製した梗塞巣へ定位的に移植し、1ケ月後に移植片の生着を形態学的検索(組織学・免疫組織化学)および行動学的解析(Water-Maze法によるラット運動学習能)により評価した。 1:組織学的検討では、H-E染色にて移植部位に多数の血管新生を認め、免疫組織化学的検討では、移植部位にチロシン水酸化酵素陽性細胞が認められ、神経突起を伸展している像が得られた。また、DARPP-32(dopamine-and adenosine 3',5'-monophosphate-regulated phosphoprotein 32)陽性細胞が移植部位に散見されたが、これがドナー由来のものかホスト由来のものかは判別できなかった。 2:Water-Maze法では、移植群は脳梗塞群に比し運動学習能において優っている傾向が認められた。 以上より、胎生10.5日ラット中脳胞部神経板組織は脳梗塞モデルラット脳内においても生着し、血管新生を促すことが確認され、さらにラットの運動学習能の改善傾向が認められた。今後は、1)アイソトープを用いて脳血流の定量を行い、移植による脳血流回復を確認すること、2)移植片の細胞がドナー由来のものかホスト由来のものかを判別すること、以上の2点に留意して実験を進める予定である。
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