平成6年度〜平成8年度基盤研究B(研究課題番号06454424)ではカルボニンとミオシン軽鎖のリン酸化について報告したので、本研究においてはカルボニンをリン酸化するCキナーゼの活性化について報告する。成犬で脳血管攣縮モデルを作製し、攣縮脳血管におけるCキナーゼの活性化をイムノブロット法で検討した。特にMキナーゼの抗体作製にあたっては、カルパインによるCαキナーゼの分割部位、すなわちm-カルパインではGPAGNKV(CFα_2)、μ-カルパインではVISPSEDRKQPSNNDRVKLT(CFα_4)に対する抗体を用いた。攣縮血管のCαキナーゼは脳血管攣縮発生後30分より7日間にわたり細胞質から細胞膜へ移行し、Cαキナーゼの活性化を示唆した。Mキナーゼは正常脳血管では観察されなかったが、攣縮血管では抗CFα_4抗体を用いたイムノブロット法で45kDaのペプチドとして観察され、Cαキナーゼがμ-カルパインによって分割されることを示唆した。しかし、抗CFα_2抗体を用いたイムノブロット法ではMキナーゼは観察されなかった。すなわち、m-カルパインは攣縮血管では活性化されないことを示唆する。さらに、m-とμ-カルパインの活性化の相違より、攣縮血管内のCa濃度は1μM〜1mMまで上昇することを示唆する。
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