研究概要 |
1)ヒト骨肉腫ヌードマウス移植モデルを用いた骨形成細胞の起源と遺伝子発現機序の解明 4種類のヒト骨肉腫由来細胞(OST,NOS1,NOS2,HuO9)をヌードマウスに移植し形成された骨組織を検討した.骨形成を担う細胞の起源を、ヒトとマウスに各々特異的なDNA配列を標的としたDNA-in situ hybridization(ISH)を用いて同定した結果、骨形成パターンには、3種類あるいことが判明した。一つは移植した細胞自体が骨形成を行うもの、もう一つは移植した細胞自体は骨形成を行わずHostが反応性に骨形成を引き起こすもの、あるいは移植細胞とHostの細胞いずれもが骨形成をおこすものであった.これらの骨形成機序の解明を進めている. 2)ヒト骨髄内骨原細胞の増殖、分化誘導と脂肪細胞への分化の抑制 まず、ヒト腸骨より採取したヒト骨髄細胞から骨原細胞を遠心分離抽出し、培養増殖させた.一定量の骨髄血からは、若年者のほうがより早く多くの細胞を得ることができ、過去に我々が報告した分離抽出を行わない培養の結果と同様であった.分離した骨髄細胞をRMP及びその担体(PGS)を用いてヌードマウスに移植し、in vivoでの骨形成の至適条件を検討した.RMPには骨誘導能力があるため、添加して移植したものはマウス由来の骨形成を明らかに誘導した.しかし、上記と同様にDNA-ISH法を用いて同定した結果、ヒト骨原細胞由来の明らかな骨形成は、認めなかった.組織学的検討により、RMPを併用した担体の骨形成は、周囲に強く起こっているため、ヒト由来の細胞の担体及び骨形成の足場としては適当でないと思われたため、現在、別の手段にて移植を検討中である.脂肪細胞への分化誘導、及びその抑制に関しては、現在、脂肪細胞のマスター遺伝子といわれるPPARを中心に、検討中である.
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