研究概要 |
1.ウサギの脳と腎臓の膜分画から、麻酔薬の作用を解析するのに必要な純度とNa,K-ATPaseを単離、精製した。 2.精製酵素を用いてNa,K-ATPase活性、部分反応であるNa-ATPase活性とK-pNPPase活性に対する麻酔薬の作用を調べたところ、いずれの麻酔薬も上記3活性を抑制した。麻酔薬および麻酔関連薬としてバルビタール(ペントバルビタール、チオペンタール)、ベンゾジアゼピン(ミダゾラム、ジアゼパム、フルニトラゼパム)、揮発性麻酔薬(ジエチルエーテル、ハロタン、セボフフラン、イソフフラン)、その他(ケタミン、ドロペリドール)を用い、薬物の濃度を広く変えて測定を行うことによって50%阻害濃度(Ki_<50>)を求めた。 3.脳Na^+,K^+-ATPase活性測定において、揮発性麻酔薬によるKi_<50>値と報告されている最小肺胞濃度(MAX)の間には強い相関(r=0.987)がみられた。 4.各麻酔薬のNa^+,K^+-ATPase活性、Na^+-ATPase活性とK^+-pNPPase活性に対するKi_<50>値の順序を比較したときバルビタール、ベンゾジアゼピン、揮発性麻酔薬の各グループごとに共通の傾向を示した。このことは、各グループによってNa^+,K^+-ATPaseの阻害機構に違いがあることを示唆する。 5.脳と腎臓のNa^+,K^+-ATPaseでは、基本的に同様の結果が得られたが一部で異なっていた。
|