緑膿菌のtype a鞭毛抗原遺伝子に動物細胞で発現するようにサイトメガロウイルスのプロモータとスプライシング配列を接続し、発現プラスミドを作成した。(pCMVflaA)。これにリポソームとマンナンを加え、その溶液をマウスの鼻粘膜に滴下し免疫するDNA免疫法を開発した。この方法で、抗原特異的な血清中のIgG抗体、糞便中のIgA抗体が産生された。細胞性免疫の抗原特異的遅延型過敏症反応、細胞障害性T細胞の活性が検出された。この免疫の後、抗γインターフェロン抗体を腹腔内に投与した。このマウスの気管内に緑膿菌を接種し、感染実験をした。感染72時間後の肺内の生菌数は免疫郡10倍以上少なかった。鞭毛抗原遺伝子によるDNAワクチンは感染防御能を増強する可能性が確認された。 同様に、緑膿菌の線毛遺伝子である、pilAをpCMVベクターに組み込んだ、pCMVpilAを作製した。このプラスミドからの転写をCos7細胞を使った培養細胞発現系を使いRT-PCRにより、確認した。このプラスミドを経鼻的に免疫すると、抗原特異的な血清lgG、粘膜上IIgA産生および遅延型過敏症反応がみられ、特異的体液性、細胞性免疫の両者が上昇していることが確認された。このpCMVpilAとpCMVflaAを組み合わせ、さらに、細胞表面抗原遺伝子の発現プラスミド等を組み合わせることにより、さらに強い感染防御能が付与できると考えられ、将来の緑膿菌ワクチン開発へつながると期待される。
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