研究課題/領域番号 |
09877317
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
重光 貞彦 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (20235526)
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研究分担者 |
塚田 啓二 日立製作所, 中央研究所, 主任研究員
堀米 仁志 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (50241823)
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キーワード | 心磁図 / 胎児心拍数変動 / 周波数解析 / SQUID |
研究概要 |
【目的】本研究は、SQUID磁束計を用いて胎児心磁図波形の解析し、R-R間隔による胎児心拍数変動の解析を行い、胎児健康状態の評価指標の基礎資料を検討するものである。 【方法】研究の趣旨に同意した妊婦に対し、磁気シールドルーム内で心磁図を計測した。液体ヘリウムを充填したSQUID(超伝導量子干渉計)センサーを用い、サンプリング周波数1000Hzで1回あたり2分間の信号記録をした。 心拍数変動の周波数解析は、R-R間隔から求めた心拍数トレンドグラムを8Hzで再サンプリングしたものに対して、FFT法で行った。 【成績】研究の趣旨に同意した妊婦のべ185名に対し、磁気シールドルーム内で心磁図を計測した。胎児心磁図は75%の症例でQRS波を確認でき、その90%は胎児信号が母体信号より大きく計測された。 心拍数変動の周波数解析は、R波の明瞭な35例(妊娠24週〜38週)に対して行った。心拍数図上resting phaseを示した症例では、低周波領域(LF:0.04-0.15Hz、交感神経優位)、高周波領域(HF:0.15-0.40Hz、副交感神経優位)とも明らかにピークを認めなかった。一方、active phaseを示した症例では、22例中20例でLF領域にピークがみられ(最小29週、平均34.9週)、また、8例ではHF領域にもパワーがみられた(最小31週、平均35.6週)。さらに、胎児呼吸様運動の周波数に一致する0.50-1.0Hzの領域に関しては、妊娠32週以前の症例では全くパワーが認められないが、34週を超える症例では若干のパワーの形成を認める症例があった。パワーの出現パターンはactive phaseとresting phaseで異なっており、自律神経系緊張状態の遷移が示唆された。また、胎児の自律神経系の発達過程には交感神経系と副交感神経系との間に差異があることが推察された。
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