研究概要 |
1. 細胞診断学的および組織診断学的に診断が困難な子宮頚部上皮内腺癌(AIS)に対する抗子宮頸部腺癌モノクローナル抗体1C5の反応性について検討した。浸潤頚部腺癌では48例中43例に陽性を示し、AISでも15例中13例と陽性を示した。抗子宮頸部腺癌抗体1C5は、AISの組織学的診断に有用であると考えられた。 2. Northern blotでは、子宮頚部腺癌細胞株CAC-1,OMC-4,TMCC-1、子宮内膜癌細胞株IshikawaではBCLPのmRNAの発現が認められたが、正常ヒト繊維芽細胞では発現は認められなかった。 3. 子宮頚部腺癌の再発の診断およびリンパ節への微小転移の診断として、Cytokeratin 18,19,20およびBCLPを血液からのRT-PCRにより同定することを検討中である。Cytokeratin 19についてはnested RT-PCRを用いて半定量できることを細胞株を使い証明し、他のものは現在検討中である。今後は患者の血液および擦過細胞を検体とし臨床的利用について検討する。 4. 子宮頚管粘液中のELISAによる抗原検討は系の検討中であり、ある程度の傾向があるが、臨床的に有用がどうかはさらなる臨床例について検討していきたい。 5. BCLPに対する抗体12G2の婦人科癌に対する反応性を検討した。子宮頚部扁平上皮癌は15例中4例、子宮頚部腺癌は10例中2例、子宮内膜癌は15例中12例と同じcDNAからのBCLPを認識する1C5とは異なる結果となった。この事よりBCLP上の抗原決定基は癌の種類により変化している事が考えられる。今後はcDNA fragmentを幾つかに分けPCRを各種細胞株で行いDirect Sequenceによりそれの差異を検討する予定である。
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