研究概要 |
目的)子宮筋腫は婦人科良性腫瘍のなかで最も頻度が高く、主たる治療法は手術療法である。現在GnRHanalogueを用いた保存的治療法もあるが、再発が多く、根治治療とはならない。また子宮筋腫の原因遺伝子は単離されておらず、分子生物学的解析もまだ少ない。そこで我々は子宮筋腫の原因遺伝子を単離するためにMicrosatellite解析により原因遺伝子の存在するであろう染色体領域を決定を試みた。 方法) 1) インフォームドコンセントを得た40例の子宮筋腫患者の末梢血リンパ球および正常子宮筋層よりDNAを抽出し、さらに筋腫手術検体をOCT compoundを用い液体窒素で凍結後、顕微鏡レベルで筋腫領域をmicrodissectしDNAを抽出した。 2) 第7染色体上の8種のSTS marker(D7S660,D7S657,D7S2504,D7S2446,D7S501,D7S471,D7S480,D7S500)および第10染色体上のPTEN exon4、第18染色体上のD18S246のブライマーを作製した。 3) ^<32>Pを用いたhot PCR productをポリアクリルアミド電気泳動を行い、Allelic imbaiance(Al)およびReplication error(RER)を検索した。 結果) 1) 第7染色体においてその情報となる22例中3例(14%)にAlを検出した。 2) Alが検出された3例の共通欠失領域は、D7S2446とD7S480の間に存在し、D7S501,D7S471の近傍であることが示唆された。 3) 4例においてRERが検出された。 結論)第7染色体において子宮筋腫のmicrosatellite変化が検出され、その共通欠失領域はD7S2446とD7S480の間であり、この領域に子宮筋腫の原因遺伝子の存在が示唆された。
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