白血球は様々な表面抗原を有しており、in vitroにおいては免疫染色などで細胞の識別が可能である。今回我々は、表面抗原を認識する蛍光標識抗体を生体内に投与して、網膜における白血球循環動態の観察が可能か否か検討を試みた。 方法として、Lewis系雌性ラットを全身麻酔した後、尾静脈にカテーテルを留置し、白血球表面抗原であるCD45に対するFITC標識抗体を5mg/kg尾静脈より投与した。ラットの眼底は走査型レーザー検眼鏡(SLO)を用いて経時的に観察し、動画としてS-VHSビデオテープに録画した。SLOによって得られた画像はコンピューターに取り込み、画像解析ソフトを用いて種々の解析を行った。 網膜循環において、標識された白血球が蛍光点として認識でき、その循環動態の観察が可能であった。また、網膜主幹動静脈および毛細血管において白血球速度が算定可能であった。生体で蛍光標識抗体を用いることにより免疫染色を行い、網膜循環において白血球を画像化することが可能であった。 以上のことから、SLOと蛍光標識抗体を用いることによってin vivoでの白血球動態のリアルタイムな観察が可能であること、また定量化も可能であることが示唆された。
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