前年度にゲノムライブラリー(λFIXIIライブラリー)より単離したヒトケラチン12(K12)ゲノム遺伝子を用いてK12遺伝子のエクソンーイントロン構造を決定し、Fluorescence in situ hybridization法により染色体座位を決定した。さらに常染色体優性遺伝のミースマン角膜上皮変性症において、その臨床像および組織像がケラチン遺伝子の変異が原因で生じる種々の表皮遺伝性疾患と類似していることから、ヒトK12を原因遺伝子と考え、全エクソンについて変異の有無をSSCP法とPCRダイレクトシークエンス法で検索した。 K12遺伝子は8個のエクソンと7個のイントロンから構成され、ゲノム上、約6kbpの長さを有していた。 染色体マッピングの結果、ヒトK12遺伝子は酸性ケラチン遺伝子のクラスターを構成している17染色体長腕12にマッピングされた。4家系のミースマン角膜上皮変性症について解析した結果、全てヒトK12遺伝子にミスセンス変異を認めた(R135G、R135I、Ll40R、T429D)。変異部位は家系により異なっていたが、ケラチン変異のホットスポットとされているロッドドメインのinitiation motifあるいはtermination motifに位置していた。本研究によりヒトK12がミースマン角膜上皮変性症の原因遺伝子であることが証明された。
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