研究課題/領域番号 |
09877337
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
釜田 恵子 自治医科大学, 医学部, 助手 (20291627)
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研究分担者 |
山上 聡 自治医科大学, 医学部, 講師 (10220245)
川島 秀俊 自治医科大学, 医学部, 講師 (30169718)
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キーワード | アポートーシス / Fasリガンド / 角膜移植 / 前房内免疫偏位 |
研究概要 |
マウス角膜移植モデルを用いて角膜内皮細胞のFasリガンドと移植角膜の生着率の関係について検討した。すなわちポイントミューテーションによりFasリガンドの欠損したC57BL/6-gld/gldマウス角膜と正常C57BL/6マウス角膜をBALB/cマウスに移植することによる生着率の差を検討し、角膜内皮のFasリガンドの役割を明らかにした。結果としてFasリガンドの欠損したC57BL/6-gld/gldマウスの角膜を移植した角膜は、正常の角膜を移植した場合より有意に高い拒絶反応を示した。また、アポトーシスを起こしている細胞を検出するTUNEL染色で浸潤細胞における細胞のアポトーシス細胞の有無を調べたところ、正常のマウスの移植角膜の内皮細胞に接触する細胞にアポトーシスを起こしている細胞が検出されたのに対して、C57BL/6-gld/gldマウスの角膜を移植した角膜内皮細胞周辺にはアポトシース細胞は検出されなかった。以上より角膜移植手術は、浸潤細胞にアポトシースを起こすことにより、自身の角膜を守り、このことが角膜移植における高い生着率を説明する一つの要因であるが明らかとなった。また眼の免疫学的特権を説明する一つの減少として前房内免疫偏位という現象が知られている。これは前房内にある抗原を注入することでその抗原に対する特異的な遅延型過敏反応の抑制が成されるものである。この現象は、Fasリガンドの欠損した C57BL/6-gld/gldマウスでは誘導されないことより、Fasリガンドを介するシステムが眼の免疫学的特権を説明する一つの重要な因子となっていることが明らかとなった。
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