研究分担者 |
庄司 洋史 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (90277913)
李 昌一 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (60220795)
久保田 隆朗 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (20178049)
久保田 英朗 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (50170030)
佐藤 貞雄 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (00084799)
|
研究概要 |
顎関節内障の病態は依然として明確にされていない。とくに炎症との関連を指摘する報告はなく,単に仮説として提案されているだけにすぎない。本年度は,顎関節内障に炎症反応が存在するか否かを精査した。また,これとの関連でフリーラジカル種が顎関節内障の成立と関係するかどうか,初めて明らかにした。以下に研究成果を要約する。 1.顎関節内障とフリーラジカル:顎関節内障患者の関節滑液中にフリーラジカルが存在することを電子磁気共鳴法(ESR)を用いて確認した。ラジカル種は炭素ラジカル,水素ラジカルそしてヒドロキシラジカル(HO・)の三種であった。とくに,HO・ラジカルの著名な増加が特徴的であった。 2.サイトカインによる実験的顎関節炎(ラット):IL-1αをラット顎関節に注入し顎関節炎を誘発させた。ポンピング法によって採取された滑液中のラジカルをESRで検出した。ラジカルのトラップ剤としてはDMPOを用いた。IL-1αは滑液中に極めて大量のHO・ラジカルを産生させた。HO・ラジカルは,SODを採取滑液中に添加することによってさらに増加した。この増加は鉄キレーターであるデスフェリオキサミンの添加によって強く抑制されるものであった。 3.結論:サイトカインIL-1αは滑液中にラジカル産生源を増加させる。とくにHO・ラジカルの産生に直接関係するFeイオンを増加させる可能性があり,さらにスーパーオキシドラジカル由来のH_2O_2との反応がHO・ラジカル生成を誘導することが明確となった。このメカニズムがヒト顎関節内障発症の原因の1つであることが示唆された。
|