本年度は、CT画像を用いた骨壁厚さ精密測定の一方法として、Dual Mode LSF解析法を考案し、この解析法の測定精度の検討を行った。CT画像のスライス平面内のLSF(Line Spread Function)を測定し、それと種々の条件下でのObject FunctionのConvolutionから、画像に生ずる歪みとObject Functionのパラメータとの関係を検討した。この検討をノーマルモード表示画像とハイレゾルーションモード表示画像において行い、この異なる二つのモードにおける歪みの関係を3次多項式近似した。多項式係数を壁厚さの関数として求め、Window Level(WL)=Li;(WW=1)において求めたノーマルモード表示画像と、ハイレゾリューションモード表示画像における壁厚さを用いて、真の壁厚さ(d)を求め、WL=Liを変化させて同一のd値を得ることを確認した。以上がDual Mode LSF解析法の概略であり、第74回日本医学放射線物理学会大会(1997/9月)および、第38回日本歯科放射線学会総会(1997/10月)にて報告した。精度の評価を、A1スロープファントム(0-2mm厚)、ランドファントムを用いて行い、1mmを越える厚さの骨壁に対して、0.1mm以内の精度で測定が可能なこと、1mm以下の骨壁については測定精度の低下が見られることが示された。現在、さらに骨等価スロープファントムを用いて詳細な検討を進めており、CAR′98(Computer Assisted Radiology and Surgery第12回国際シンポジウム′98.June:東京)での発表がacceptされている。以上に平行して、CT装置からEthernetを介してパーソナルコンピュータへCT画像転送を可能とし、また、PSF測定用ファントムを作成した。今後、PSFファントムの同時撮影により、測定限界の改善が可能かどうかについて検討を進めるとともに、解析プログラムの開発を進めて行く。
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