研究概要 |
ポルフィロモナス・ジンジバリス外膜蛋白(P.gOMP)刺激したときに、2次培養で細胞増殖が抑制されたので、P.gOMPにかなり含まれているエンドトキシンなどを除く目的で、硫安による塩析によってタンパク成分を精製した。SDS-PAGE分析を行った結果、主な蛋白質は、100,52,48,43,30,20,16kDaであり、特に52kDaの外膜蛋白を多く含んでいた。得られたP.gOMPが実際に歯周炎患者の血清と反応するかを調べる目的で、P.gに対する血清抗体価の高い歯周炎患者3名の血清を用いてウエスタンブロットを行った。その結果、52kDaの外膜蛋白に歯周炎患者で強い反応がみられた。健常人血清では、ほとんど反応しないか、弱い反応であった。そこで、P.gに対する血清抗体価の高い歯周炎患者の末梢血を用いてP.g特異的T細胞クローンの確立を開始した。1次刺激では、比較的よく細胞の増殖、5日目ぐらいから、IL-2R陽性CD4+T細胞がみられたが、2次刺激以降細胞の増殖が弱かった。2次刺激以降の至適濃度の検索をしたところ、PgOMP濃度が2mug/mlでStimulation Index(SI)が、2前後となり、以前は殆ど増殖しないか、逆に抑制がかかっていたのに、少なくとも増殖するようになった。1次培養後、すぐに限界希釈条件でクローニングに入り、T細胞の増殖因子として、IL-2/IL-4を添加する方法で、歯周炎患者1名より1クローンを得た。そのphenotypeは、CD4+CD45RO+であったが、特異性のアッセイを行ったところ、未刺激でも増殖していまい、P.gOMPでは、強い増殖反応を示さなかった。すなわち、自己の抗原提示細胞に反応すると思われる細胞が得られた。以上のことから、歯周炎患者の末梢血単核細胞のP.gOMP刺激で増えてくるT細胞は、1次刺激で増殖するが、2次刺激以降増殖しない可能性があり、今後T細胞の補助刺激因子などを含めた性状を解析していくことが必要となった。
|