研究概要 |
本研究は体積膨脹性球状フィラーをPMMA-MMA系床用レジンに配合することにより,成形・硬化過程における硬化収縮,熱収縮,残留応力の軽減を目指すことにある. 加熱重合型床用レジンの粉剤(P)として,球状PMMA(三菱レイヨン)に熱膨脹性球状粉体(Expancel 642WU)を種々の割合で添加したもの,液剤(P)として0.5%BPOを含有するMMA,P/L=10g/4.5mlで加熱重合型床用レジンを試作した.それらに対して,ISO1567-1978に準拠した曲げ試験,コンパクト引張試験片を用いた破壊靱性試験,標点間距離50mmに対する寸法変化率を測定した.次のような結果が得られた. 1.PMMAに対してExpancel 642WUを20%まで配合した曲げたわみ量はその添加量が増加すると共に,漸増したが,15N〜35N,15N〜50N共に床用レジンの要求値を満足した.また,破断時の曲げたわみ量は10%配合が最大値を示し,無配合のそれの1.3倍程度であった. 2.曲げ強さは15%配合までは無配合のそれに比べて向上したが,20%配合すると無配合のそれと同じレベルに低下した. 3.曲げ弾性係数,曲げ剛性は15%配合までは無配合のそれらに比べて漸増したが,20%配合では,無配合のそれらに比べて明瞭に低下した. 4.破壊靱性値は配合量が増加するにつれて,5%配合のそれを除いて高度に有意に減少した. 5.無配合の寸法変化はマイナス値であるが,配合量が増加するにつれて,寸法変化がゼロ近傍に変化した.しかし,本測定法では,正確な絶対値を得ることができなく,測定法の再検討が必要である.
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