研究概要 |
前歯歯冠形態の分類は従来より報告がなされているが、分類基準や類似性の判断が研究者の主観に基づくものが多い。前歯歯冠形態の客観的な評価を目的として新たに非接触3次元画像解析システムを開発した。本システムの測定及び分析方法は以下の通りである。 まず歯列模型を被検歯を中心にトリミングし、パルスモーター駆動によってX,Y軸が制御された載物ステージにのせて、レーザースリッド光を照射する。レーザースリッド光は被検歯にあたり曲線を描く。この曲線を、レーザースリッド光軸に対して25度の角度をもって放置されたCCDカメラで撮影し、その3次元座標をコンピュータに入力する。載物ステージは1.8度を1回として200回回転させ(360度)、その都度CCDカメラによる撮影と3次元座標の入力を行う。以上の測定によって得られた3次元座標データを、3次元画像表示・解析ソフトを用いて被検歯の立体画像としてモニター上に表示する。次に、画像上の近心隅角、遠心隅角、臨床的歯頚線最歯根側部の3点からなる平面を、3次元座標のX.Y軸からなる平面と一致させるとともに、近心隅角、遠心隅角からなる直線をX軸と平行になるように画像処理する。これにより、多数の被検歯の歯冠形態を分析する際にも同一基準をもって分析することができる。ここで得られた歯冠形態唇側面画像を歯冠形態としてその輪郭をFFT解析し、角被検歯間の相互相関係数を求め、類似性を評価する。 今回、基礎実験として補綴処置を施されていない上顎右側中切歯模型の中から、方形、円形と思われる被検歯模型を各2歯、計4歯選出し、本法にて分析を行った結果、その有効性は高いと考えられる。今後、被検歯数を増やし、さらに分析を行うとともに、断面分析なども行う予定である。
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