研究概要 |
放射線照射による顎骨骨壊死の程度を近赤外分光法によって捉えることを目的として、正常家兎(対照群)と放射線照射を行った家兎(照射群)の下顎骨内における酸素濃度の変化を計測した。計測には、ハロゲンランプを光源とする4波長生体分光計測装置を用いた。計測波長として、700nm,730nm,および750nmを用い、酸素化ヘモグロビン量([HbO_2]),脱酸素化ヘモグロビン量([Hb]),全ヘモグロビン量(total[Hb])を計測した。 1.FiO_2を21%から0%に変化させた時の[HbO_2]と[Hb]の変化量は、照射群の方が対照群よりも明らかに少なかった。この変化量は、測定部位におけるヘモグロビンの流入量、すなわち血液量の相対的な差を反映しているので、照射群における血液量は対照群よりも少ないことを示している。 2.両側総頚動脈を一時的に閉塞した時の変化をみると、[HbO_2]の変化量については照射群の方が対照群よりも少なかったが、[Hb]の変化量には差がなかった。この変化量は測定部位における酸素の供給と利用の関係、すなわち細胞の呼吸を反映しているので、照射群における酸素消費が障害されていることを示している。 3.なお、tatal[Hb]の変化量については、どちらのプロトコールでも対照群と照射群に差は認められなかった。これは、実験の前後における血液量に差がなかったことを示している。 4.以上から、近赤外分光法を用いて顎骨内の酸素濃度の変化をとらえることが可能であることが示された。
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