研究概要 |
1.当科患者の生検時組織より粘表皮癌細胞株MQ-SHおよび頬粘膜癌細胞株SQ-UTを樹立し,クローニングを行い,各4クローンを得ることができたので,これらのクローンに対し,シスプラチンおよびブレオマイシンの薬剤耐性細胞株を作製している。またヌードマウスを用いた同所性移植にて増殖,浸潤・転移能に相違がある舌癌細胞株SQ-UU(本研究者が樹立)の各クローンに対しても,同様の抗癌剤耐性細胞株を作製している。さらに口蓋扁平上皮癌のリンパ節転移巣,舌癌のリノパ節転移巣,舌癌の皮膚転移巣(すべて未治療)より癌細胞株を樹立したので,各々のクローニングを行っている。今後,数種類の癌細胞株の抗癌剤耐性細胞株とその母細胞株間における遺伝子の発現の相違を,DNA抽出からはInter-Alu long PCR法によるGenomic Figer Print法(ヒトゲノムDNA中に存在するAlu配列を利用したPCR法)にて,RNA抽出からはDifferential Display法にて検討し,耐性あるいは耐性抑制に関与する遺伝子の単離と解析および遺伝子導入実験を行う予定である。また,放射線耐性細胞株を作製し,同様の解析を行う予定である。 2.岡山大学病態遺伝学講座より,Aluのプライマーを譲与して戴き,プライマーの組み合わせ(10組)にて,当科の患者の放射線治療あるいは化学療法前後の組織より抽出したDNAに対し,Genomic Figer Print法を行っている。治療前後にて発現に相違を認めるバンドを数本認めたので,その遺伝子のシーケンスを行っている。今後の予定はこの遺伝子のクローニング,クロモゾーム上でのmappingを行い,遺伝子の発現と臨床病態との関係を検討する。またRNAが抽出できる症例に対しては,Differential Display法を行い,耐性あるいは耐性抑制に関与する遺伝子の単離と解析を行う予定である。
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