顎関節症患者、特に筋症状を有する患者における睡眠時の咀嚼筋活動を評価するためにホルター筋電計を用いて睡眠時にEMGの記録を行っている. 咬筋または側頭筋に自発痛や圧痛を有する顎関節症患者に対し、当科顎関節症用プロトコールを用いて問診を行い、咀嚼筋症状の自他覚的評価を行った後、患者の同意を得て、ホルター筋電計(メガエレクトロニクス社ME-3000P)を自宅に持ち帰ってもらい睡眠時EMGを記録してもらった.自宅での睡眠時計測では、(1)機器の扱いに不慣れなため機器が正常に作動していない、(2)貼付してもらう電極数が多く、電極が正しい位置に貼付されていなかったり、途中で脱落したりする、(3)電極が気になり通常の睡眠パターンをとれなかった、などの問題点が出てきた.(1)、(2)については、機器の取り扱いをできるだけ単純化し、電極貼付位置と貼付方法を図示し、繰り返し指導することで対応している.(3)については、電極貼付の状態に慣れた後にEMGを記録するあるいは数日間連続で記録するなどの対応が必要と考えている. 記録されたEMGは、光ケーブルで専用データステーションに転送し波形の解析を行っているが、睡眠時EMGを完全に記録できた症例が少なく、詳細な検討は出来ていない. 今後は、EMG記録の不備をなくし、症例数を増やし、治療前後での症状の変化とEMGの変化の関連や顎関節症状を有さない対照群との比較による顎関節症患者の特異な筋活動などを明らかにしていく予定である.
|