嚥下時に産生される呼吸音・嚥下音を嚥下動態の透視画像と同時に記録し、呼吸音・嚥下音の音響特性を評価するとともに画像所見により群分けし、呼吸音・嚥下音の聴覚印象検査による嚥下障害の判定を行うことにより聴覚的診断基準の有効性について検討した。 対象は同意の得られた術前・術後の頭頚部腫瘍患者40名で、バリウム嚥下時に産生される呼吸音・嚥下音を被検者の頚部より加速度ピックアップを用いて採取し、同時に透視装置を用いて撮像した嚥下、呼吸時の透視画像とともにビデオデッキに記録した。 歯科医師3名を検者として呼吸音・嚥下音について聴覚印象検査を行い、嚥下障害(誤嚥、喉頭内侵入、咽頭部貯留、それらを伴わない異常嚥下、正常嚥下)を判定させ、画像所見との判定一致率を検討した。 その結果、誤嚥、喉頭内侵入、咽頭部貯留を危険群、それらを伴わない異常嚥下と正常嚥下を安全群とした場合、頸部聴診経験者による識別率は90%以上であった。
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