1.N-ヒドロキシフェネチルグアニジン及びその関連化合物を用いた一酸化窒素(NO)ガスとの反応:分子中にN-ヒドロキシグアニジル基を含むN-ヒドロキシフェネチルグアニジン及びその関連化合物をモデル化合物として用い、NOガスとの反応を検討した。その結果、N-ヒドロキシグアニジル基は、NOガスと酸素により酸化的N-ニトロソ化され、N-ニトロソウレイド基に変換させることが判明した。本反応については、反応途中に中間体が生成することを認めたが、極めて不安定なためその構造を確認するまでには至らなかった。また、ウレイド基も同条件下スムースに反応して、単にニトロソ化されたN-ニトロソウレイド基に変換された。しかしながら、グアニジル基そのものは、本反応に全く不活性であった。 2.N-ヒドロキシアルギニンに対するアゴニスト又はアンタゴニストの分子設計:N-ヒドロキシアルギニンに対するアゴニスト又はアンタゴニストの分子設計を目的として、N-ヒドロキシアルギニンよりメチレン鎖が一つ伸長したN-ヒドロキシホモアルギニンと、N-ヒドロキシグアニジル基の置換窒素原子がメチレンに置き変わった炭素イソスターの合成を行った。両者の合成に際しては、グルタミン酸誘導体を共通の出発原料として選んだ。その結果、前者のホモ体に関しては9行程、通算収率5.0%で、そして後者炭素イソスターにら関しては8行程、通算収率4.9%でそれぞれ目的化合物の合成に成功した。ここに分子設計した二種の化合物については、現在生理活性試験を依頼中である。
|