Micromonospora chersinaのダイネミシンA自己耐性遺伝子のクローニングを目標として、以下の検討を行った。 ダイネミシンA生産菌M.chersina菌体より、ゲノムDNAを調製し、制限酵素Sau 3AIにより、部分消化後、放線菌のプラスミドベクターpKU110にライゲーションした。これをダイネミシンA感受性の放線菌であるStreptomyces lividansプロトプラストに直接形質転換導入した。形質転換体をダイネミシンAを含む選択培地プレート上でスクリーニングし、ダイネミシンA耐性を示す形質転換体の取得を試みた。プレート上、0.01μg/mlのダイネミシンA濃度で耐性を示した8株を、更に同濃度で液体培養に移したところ、そのうち1株のみが増殖し、耐性をもつと考えられた。ただし、その成長速度は正常条件下に比べ極めて遅かった。この耐性株より、プラスミドを回収し、その解析を行ったところ、ペプチド分解酵素モチーフをもつタンパクをコードしている約1kbのインサートを含むものであった。得られた耐性株のダイネミシンA耐性が保持するプラスミドによることを確認するため、このプラスミドを再びS.lividansプロトプラストに形質転換導入したが、ダイネミシンA耐性を示す形質転換体は得られず、クローニングした遺伝子は、M.chersinaのダイネミシンA自己耐性遺伝子ではないことが判明した。今回のスクリーニングで得られた耐性株はおそらくS.lividans自身のゲノムDNAが直接変異を受け、耐性を示したものと考えられた。 現在、上記のショットガンスクリーニング法ではなく、改めて約30kbのインサートをもつM.chersinaゲノムDNAのコスミドライブラリーを構築し、これをS.lividansに形質転換導入して自己耐性遺伝子のスクリーニングを再検討中である。
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