研究概要 |
今年度は、昨年度までに確立した、オリゴヌクレオチド(d-GTCATCTCCとr-GGAGAUGAC)を基質として用い、HPLCにより分析する、HIV-1逆転写酵素のRNase H活性阻害活性試験法を利用して、霊芝の胞子から単離されたラノスタン型トリテルペン類および何種類かのキノン類のスクリーニングを行った。HIV-1逆転写酵素のRNase H活性を阻害する物質としてすでに知られているベンゾキノン誘導体であるillimaquinoneを陽性コントロールとして、比較実験を行ったところ、今回試験したアントラキノン類には強い活性は見られず、一部のラノスタン型トリテルペン類およびナフトキノン類の中にillimaquinoneと同等の阻害活性を持つ化合物を見つけることができた。これらの活性は、ラジオアイソトープで標識されたpoly(rA)poly(dT)を基質とした従来の実験方法においても、確認することができた。また、今回試験したナフトキノン類において、HIV-1逆転写酵素が持つRNA-依存DNAポリメラーゼ活性およびDNA-依存DNAポリメラーゼ活性に対する阻害活性も調べたところ、RNase H活性に対する阻害活性は、DNAポリメラーゼ活性に対する阻害活性とは区別することができる、すなわち、これらナフトキノン類とHIV-1逆転写酵素との相互作用は、部位特異的なものであると考えられた。さらに、1,4-ナフトキノン環上の水酸基とメチル基がHIV-1逆転写酵素阻害活性に大きな影響を与えることが判明した。
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