研究概要 |
薬用植物を大きく分類すると、活性成分を純粋に単離して医薬品とするものと漢方薬等の抽出エキスとして使用する群に分けられる。申請者は後者について植物細胞組織培養テクニックを駆使して生薬の基原植物の育種研究を行い、均質な品種やパソ-ゲンフリー品種の作出、さらに除草剤耐性遺伝子を挿入して除草剤耐性品種を育成してきた。本研究では従来の研究の延長線上にあって、活性成分リッチな品種の育成を目指し、活性成分に対するモノクローナル抗体遺伝子を植物に導入し2次代謝をコントロールするものである。 各種活性成分リッチな品種の選抜用アッセイ法として阿片アルカロイドである、morphine,codeine,thebaine,アデニールシクラーゼを活性化し強心薬として市販されているforskolin,最近脳とマクロファージでレセプターが発見され神経免疫に関係していると目されている大麻成分、THCまた、ステロイドホルモンの原料となるsolasodene配糖体、solamargine等に対するモノクローナル抗体を作成し、ELISAによる超高感度定量法を確立してきた。さらにモノクローナル抗体遺伝子を小型化したシングルチェインFv(scFv)の作成を行った。 抗forskolinモノクローナル抗体産生ハイブリドーマから全RNAを抽出しcDNAを合成後、VH、VLに特異的なプライマーを用いてPCRを行い、得られたVHとVLをリンカーで結合しscFvを作製する。さらにベクターpCANTAB5Eを用いて大腸菌に形質転換しクローニングを行った。現在scFvタンパクの確定とAgrobacteriumへの組み換え作業に進んでいる。
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