研究課題/領域番号 |
09877426
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
小田切 優樹 熊本大学, 薬学部, 教授 (80120145)
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研究分担者 |
藤山 重俊 熊本大学, 医学部, 助教授 (20109656)
今村 順茂 熊本大学, 薬学部, 助教授 (30040314)
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キーワード | 血清蛋白結合 / 分子機能学的動態解析 / 薬物間相互作用 / 腎障害 / 薬物 / 尿毒症物質 / 阻害効果 / 脂肪酸 |
研究概要 |
本研究は、病態時における薬物の血清蛋白結合の機序解明を行うとともに、薬物間の相互作用を予測し、合理的かつ安全で有効な処方設計の立案を目的として企図された。本年度は、腎障害患者の血清を用いて、腎障害時における利尿薬フロセミドの血清蛋白結合について検討し、以下の知見を得た。 1)フロセミドの血清蛋白結合は尿毒症物質共存下で低下し、特に3-carboxy-4-methyl-5-propyl-5-propyl-2-furanpropionate(CMPF)によって著しく阻害された。CMPFおよび脂肪酸共存により、これらの血清蛋白結合は顕著に低下したが、これらの効果は、それぞれの相加的な阻害効果より有意に大きかった。このような興味ある阻害効果は、脂肪酸がアロステリックおよび競合的相互作用によってフロセミドを置換する直接的な効果に加え、脂肪酸が尿毒症物質を介してフロセミドを置換する、いわゆるカスケード効果の、二つの効果が同時に働いたためと推察された。 2)利尿薬フロセミドと抗てんかん薬バルプロ酸は、臨床上しばしば併用投与される。そこで腎障害時におけるこれらの薬物相互作用の機序を解明するため、これらの混合系に対する脂肪酸の影響を調べた。その結果、フロセミドの血清蛋白結合は併用薬バルプロ酸と脂肪酸の添加によって減少したが、1)の場合と異なり、カスケード効果の関与は考えられなかった。したがって、フロセミドの血清蛋白結合を阻害するバルプロ酸と脂肪酸効果は全く異なるものと推察された。
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