我々の研究目的は、保険薬局から副作用情報を収集するために、(1)薬剤師のモティベーションを向上させる方法、(2)患者の副作用症状を聞き取る方法、(3)薬剤師から情報を収集する通信手段、(4)収集した情報を整理し解析する方法などを明らかにし、薬科大学と保険薬局のネットワークを構築することである。本年度は(1)と(2)について一応の結論を得た。 薬剤師は調剤した薬剤とともに、その薬剤を患者が正しく服用するための情報を提供しなければならない。そのため薬剤師は添付文書に記載されているごく一般的な情報の他に、個々の患者の病態に適合するような高度な情報をあらゆる情報源から収集しようとしている。このとき最も重要なことは、薬剤情報を提供するとともに、薬剤を服用する個々の患者について副作用の発現を監視することである。 我々は、添付文書に記載されている副作用750項目から、患者の自覚症状に相当する450項目を抽出し、異語同種の項目を再構成して207項目の質問文章に整理し、「副作用システムレビュー・チェックシート」を作成した。添付文書から再構成したチェックシートは、患者にも薬剤師にも分かりやすいものであり、研究目的に記した(1)と(2)をほぼ満足する内容となっている。 次年度に向けて現在我々は、上記のチェックシートを約150の保険薬局に配布し、職能の中で実際に使用することによって、薬剤師と患者の立場での内容評価を実施中である。
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