(1)Bi-Digital O-Ring Testとは、徒手的に指の筋緊張を検査することで生態の機能状態を判断する医学的診断方法であり、我々は臨床において実際に診療に用いているが、本手法は外部の電磁場の干渉をうけることが過去の研究においてすでに明らかにされている。 (2)今回、磁束が封入され、外部に磁場の漏れが無く、磁束とコイル周囲の磁気ベクトルポテンシャルが分離できる考えられるトロイダル型コイルを作成しBi-Digital O-Ring Test施行中の生体に作用させると、筋緊張に変化が生じることを明らかにした。我々は、筋緊張とは筋の収縮・弛緩の協同性の表現系であり、生体の秩序性との深い関連があるものとして捉えている。すなわち、磁気ベクトルポテンシャルが生体の秩序性に関わる機能系に干渉することが推測された。またここから、生体の秩序性の動的な生成過程における電磁場の関与が推測された。 (3)また、我々はこれまで、Bi-Digital O-Ring Test上の臨床的知見から薬剤にも何らかの電磁場が介在した効果が存在することを推定してきたが、上記のコイルにより誘導した磁気ベクトルポテンシャルを介してそれらの薬剤と同様の効果が遠隔に伝達されることをBi-Digital O-Ring Test上において同定した。すなわち、何らかの電磁場を介した薬理効果の情報伝達に磁気ベクトルポテンシャルが関与している可能性が示唆された。 (4)来年度はより精密な実験を組むと共に、磁気ベクトルポテンシャルを介して生体に薬理情報を作用させ、従来の生体パラメーターを用いた生体効果の検出を試みる予定である。
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