研究課題/領域番号 |
09877455
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
杉山 雄一 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (80090471)
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研究分担者 |
加藤 将夫 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (30251440)
鈴木 洋史 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (80206523)
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キーワード | アンチセンス / ドラッグデリバリーシステム / 体内動態 / ターゲティング |
研究概要 |
アンチセンスを医薬品として開発する上で最も重要な課題は体内動態の制御である。標的部位への移行性の乏しいアンチセンスを、効率的にデリバリーするための基礎的検討項目として、本年度は標的細胞表面に存在する受容体もしくは抗原を認識したデリバリーをとりあげ、その有効性と問題点とを薬物のデリバリー効率の観点から速度論的に考察し明らかにした。表面受容体をターゲットとする場合、効率的なエンドサイトーシスが期待できる反面、エンドサイトーシス後の細胞内運命の制御が問題となるため、腎臓由来上皮細胞系において上皮成長因子をモデル化合物として用い、その細胞内挙動を解析したところ、大部分がリソゾームで分解を受けるものの、ごく一部が分解を受けずに細胞表面へリサイクルないしはトランスサイトーシスされることが明らかとなった。そこでターゲティングの効率を高める目的で、種々の阻害剤を用い細胞内運命の制御を試みたところ、リソゾーム酵素の働きを阻害するいくつかの薬品を用いることによって細胞内での分解を阻害し結果として細胞内滞留性が上昇することが明らかとなった。以上より、細胞内運命を制御することによってデリバリーの効率を高めることが可能であることが示唆されたが、さらなる効率化を目的として現在遺伝子組み換え技術を応用した検討を試みている。次に細胞表面抗原を認識したデリバリー効率を評価する目的でp糖蛋白質抗体を用いた細胞内挙動の評価を行った。抗体を放射能標識し、細胞表面への結合と取り込まれたものとを分離評価したところ、速度は遅いものの一部がエンドサイトーシスされることが明らかとなった。このことはp糖蛋白質過剰発現細胞へのアンチセンスのデリバリーの可能性を示唆するものであり、よりエンドサイトーシスの効率を高める工夫をすることによって実用化が進むものと思われる。
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