1.山形県内にある老人ホーム・老人保険施設を中心に、研究の協力の得られた4施設に入所している高齢者を対象に、1〜2週間の入所者間の日常生活行動の参加観察をした上で、半構成的質問紙に基づく面接調査を行った。調査期間はH9.11.4〜H10.2.27である。なお、いずれの面接でも、施設責任者並びに調査対象者の了解を得て、面接内容をテープレコーダーに録音した。 (1)調査対象は次の条件にあった高齢者104名である。すなわち、65歳以上、認知能力・聴力・会話能力に問題がない、身の回りの生活行動がある程度自立している、本研究の主旨を理解し承諾が得られた者である。 (2)調査内容は調査対象の属性(年齢、入所年数、入所理由、身体状況、結婚の有無、子供数、趣味、宗教、生育背景、学歴、性格、現在最も大切にしていること等)、具体的な愛他的行動とその時の状況、愛他的行動を行う個人的意義または理由である。 2.面接調査で得られたテープを一語一句書き起こした逐語録を基に、現在、内容分析中である。内容分析では、愛他的行動、愛他的行動を行う意義についてピックアップし、コード化を繰り返し、カテゴリー化をしている。これらの最終的な分析後に、得られた愛他的行動の類型を明細化し、また愛他的行動に関連する属性について検討し、規定要因についても明らかにする予定である。 3.10年度は9年度と同様の研究方法に基づき面接調査を行うが、対象者は地域に暮らす高齢者を対象にする。その上で、9年度の結果の共通性と相違性について検討し、高齢者の愛他的行動とその意義についての概念的枠組みと高齢者の愛他的行動の意思決定モデルを提示する予定である。
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