今年度は、前半で、資料収集および国際協力事業団の協力、同意を得て、本研究の対象者の把握を行い、今年度後半からケーススタディのための調査を実際に開始した。研究の実施結果は以下のとおりである。 1)現在、プライマリヘルスケア、国際保健に関する海外の文献を収集し、文献にみられる動向や共通の要素および、課題について分析を行っている。 2)資料・情報を収集する中で、青年海外協力隊でプライマリヘルスケア領域に従事する看護隊員は、近年、保健婦、看護婦、助産婦と職種の広がりをみせていることがわかった。そこで、本研究では、対象者を国内外でプライマリヘルスケア領域に従事してきた歴史が長い保健婦にしぼることにし、青年海外協力隊報告書等から活動経過の共通性をさぐった。 3)国際協力事業団から今後派遣される予定の青年海外協力隊の保健婦隊員の紹介を受けた。該当する対象者は平成9年度2次隊(平成9年12月派遣)3名と平成9年度3次隊(平成10年度4月派遣)5名であり、合計8名の協力を得ることができた。これは当初予定していた対象者数に近い。派遣前訓練の期間中に、協力を得られた8名全員に対象者の背景調査を行い、データを収集した。現在、すでに派遣が行われている3名については、派遣約1ヶ月後に質問紙を郵送し、返答を得ている。今後、任国における初期適応について関連すると思われる事柄を分析していく。なお、来年度前半(平成10年度1次隊、平成10年7月派遣)で6〜7名の対象者を見込んでおり、本研究の対象者は合計15名程度となると考えている。郵送による質問紙調査はおおむね3〜4ヶ月に1度の割合で経過を追っていく予定である。
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