研究課題/領域番号 |
09877478
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
柴田 真紀 北里大学, 看護学部, 助手 (10286370)
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研究分担者 |
池田 明子 北里大学, 看護学部, 教授 (90090399)
小林 信 北里大学, 看護学部, 講師 (10255367)
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キーワード | 精神科看護 / 行動制限 / 葛藤 / 対処行動 / セルフケアレベル |
研究概要 |
本研究では、精神科病棟における看護者の経験年数に焦点を当てて、行動制限を行う看護者の葛藤や対処行動の実態を調査し、患者の安全や安楽に及ぼす影響について考察した。 研究方法は、大学病院の精神科閉鎖病棟に勤務する看護者を対象としたアンケートおよび面接調査である。 調査の結果、葛藤と対処行動について精神科経験年数による違いが見られた。経験年数1年未満の看護者は、身体的拘束(抑制)をするに当たり、家族的心情に近くなり、患者状況に関するアセスメントに対して自信がない様子が語られた。疾患の知識不足もあり、自分だけでは葛藤の処理ができず、チームカンファレンスを利用したりし、看護判断を先輩や医者に委ねる対処行動をとっていた。経験年数1〜5年未満の看護者は、チームメンバーや医師とアセスメントがずれた状況、マンパワーの不足を抑制で補っている現状とセルフケアレベル、安楽との間で葛藤が起こりやすい。経験年数5年以上の看護者は、ケアの質、チーム内の問題に目が向けられ、直接ケアでの葛藤はないと語られた。身体的拘束により、患者のセルフケアレベルが低下することを把握しており、患者のセルフケアを維持するためにチームメンバーへの指導的役割を担っていた。 対処行動として、多くの看護者がチームカンファレンスをあげていたが、そこに求めるものは経験年数によって違い、新人は、自分の判断をゆだねる場、中堅は自分自身の判断を確認しながら広く意見を求める場、ベテランは教育目的の場として活用していることが明らかになった。また、ケアに迷いがなく、チームの教育を担う経験年数5年以上の看護者の対処行動の取り方によって、患者の処遇、安全、安楽に大きく影響を及ぼすことが考察された。
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