神奈川県下H病院在宅医療支援室が訪問看護活動を行っている6家族の自宅にファクシミリ電話機(以下FAX)を設置し、在宅医療支援室との交信内容を収集・整理・分析を行った。その内、5名の自宅にはFAXがなかったため、FAXを貸与した。 設置期間は最短で3日、最長で1年3か月であった。6名の内2名は死亡し、1名は再入院となり在宅療養への移行は困難となった。2名は研究終了時(1999年2月末)在宅療養中である。残りの1名はFAX使用上の問題により、家族の希望で使用を中止した。 研究期間中再入院となった患者は死亡例も含めると4名であった。 病名は癌が2名で、4名は脳血管障害であり、機能障害として摂食、排泄、移動、意思伝達、気道確保ガス交換障害を複数持っている人であった。そのため、気管切開、酸素療法、持続導尿、胃瘻からの経管栄養、移動訓練を実施していた。 FAX設置時と設置後3から6か月経過後、研究終了時の3回に渡って、療養中に生じた問題と対処方法について面接調査を実施した。 FAXの内容としては、訪問日の患者の状態や家族の状況を事前に伝える内容やカテーテルの閉塞、痰の吸引が困難な状況での対策を求めるものが多かった。 これらの内容と面接調査によって、(1)訪問看護の回数が患者と家族の希望に沿っており、(2)外来受診による検査と医療処置が保障され、(3)家族が対処できない状況では入院が可能で、(4)必要時ホームヘルパーの支援を受けながら、(5)訪問看護婦との連絡が保たれていれば在宅療養を継続することは可能であることが示唆された。 これらの結果についてレビューを受けるため、カナダ、ハミルトン市マックマスター大学とデンマーク、オーフス市訪問看護センターを訪問した。
|