「現代企業の技術戦略はどのようなことを考慮しながらどのような過程で決定されていくのか?」、「各企業の技術戦略の成功と失敗はどのような要因によるものなのか?」に関して、パーソナル・コンピューター関連企業における技術戦略に特に焦点を当てながら、実証的分析をおこなった。すなわち、各企業が競争優位の確保・販売数量の極大化を求めてデファクト・スタンダードの獲得に向けてどのような技術戦略をとっているのか、またそうした技術戦略の成功や失敗の技術的要因および社会的要因に関して実証的な分析をおこなった。 具体的には、パソコンのCPUの開発に関するインテルとモトローラとの技術戦略上の違い、米国のそれらリーディング・カンパニーの技術戦略に対抗してNECや富士通など日本のパソコン関連企業が取った技術戦略、パソコン開発に関するIBMとアップルの技術戦略の違い(アウトソーシング中心型技術開発戦略vs自社開発中心型技術開発戦略という視点からの考察を含む)、マイクロソフトのDOSやWindowsなどのOSに関する技術開発戦略およびそれに対抗するアップルのOS戦略(CPU技術やインターネット技術などの関連技術の発展との関連に関する考察を含む)、パソコンのマザーボードの中心的部品であるチップセットに関するインテルおよび対抗企業の技術戦略などに関する実証的分析をおこなった。 そして、そうした実証的分析データを基礎として現代企業の技術戦略および現代技術の展開過程における構造解明のための予備的考察をおこなった。
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