本年度は、研究開始年である。このため、今後の研究を円滑にすすめるための準備と被験者の確保、被験者とのワークを重点とした。 設備備品については、重心動揺計、モアレ式体形観察器、カメラ、書籍等を購入した。この他、大学の体育関係予算で予算でピラ-ティス・メソッドのエクィップメントであるペディポールやスモ-ル・チェア-等を輸入し、実践に備えた。 また、被験者3名とワークを行なった。期間は1998年2月中旬から3月初旬である。被験者は、内反膝の女子学生2名と軽度の側彎(背面角度5度)の女子学生1名である。内反膝の被験者Eについては、リフォーマ-を用いたエクササイズを中心に週2回のペースで7回ワークした。この結果、身体意識の向上と内転筋の筋力と柔軟性が向上し、自己制御下での膝間距離はゼロとなった。被験者Tについては、断続的に4回ワークをおこなった。被験者Tには、左右の大転子の位置が異なるなど、全身的なアラインメント不良があったが、背面角度の変化(3度から0度)、内転筋の筋力と柔軟性の向上等の効果があった。膝間を狭くするための制御力は向上したが、膝間距離ゼロには至らなかった。軽度の脊中側彎の被験者Kについては、(1)ピラ-ティス・メソッド(マット・エクササイズとリフォーマ-・エクササイズ)(2)コーディネーション・エクササイズ(神経と筋の協調)、(3)筋力トレーニングを用い、週2回のペースで6回ワークした。こうしたエクササイズは、背面角度が5度から2度までの変化をもたらした。 本年度の計画にあったピラ-ティス・メソッドの指導技術のリフレッシュメント(在ニューヨーク)も終えた。また、本研究と関連のある不良姿勢の矯正についての研究発表「不良姿勢の矯正-ボディ・コンディショニング・エクササイズの効果-」(日本健康科学学会第13回大会)を行なった。この他、本研究で用いるピラ-ティス・メソッドについての文献研究として「ピラ-ティス・メソッド・オブ・ボディ・コンディショニングの研究(1)-ジョーとContrology-」(聖心女子大学論叢第90集)を著した。
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