今年度は、萌芽的研究の最終年度にあたるため、これまでの研究を整理した。 本研究では、特発性脊柱側彎症に処方するエクササイズを中心に開発しながら、不良姿勢の女子を対象にエクササイズを施した。そして、その効果とエクササイズを検討した。 被験者は、脊柱側彎症と診断され経過観察中の大学1年生の女子2名(18歳)を含む21歳までの脊柱側彎症の女子5名と、腰椎変形による不良姿勢の女子1名の計6名である。セションは約70分で、1週間に1回とし、平均して25回おこなった。セションの前後に重心動揺の測定と脊椎6箇所(T4、T8、T12、L1、L3、L5)の背面角度を測定した。エクササイズについては、その目的を(1)体幹調整(2)全身アライメント(3)筋力トレーニング(4)身体意識の向上とした。開発したエクササイズは50種類に及び、必要に応じてセションに組み入れた。ワン・セションは、背臥位で行うエクササイズとピラーティス.メソッド(初級)、筋力トレーニングを中心とし、立位の全身アライメント・エクササイズを組み入れた構成である。 この結果、背面角度の変化においては、18歳の経過観察中の女子2名についてT4とT8付近の数値の減少に有意差があった。このうち1名についてはT12付近についても有意差があった。不良姿勢の被験者のT8からL5まで数値減少があり、有意差があった。残り3名(19歳から21歳)の被験者(脊柱側彎)については背面角度における改善は認められなかった。このほか、脊柱側彎症の被験者全員について閉眼片足立ち時間の左右差の減少と重心位置の変化の左右に有意差があった。 本研究では、脊柱側彎症の18歳の被験者2名に胸郭形態の変化があった。また腰椎変形の不良姿勢の被験者についても胸郭形態の変化があった。こうした変化の保持や、エクササイズ処方年齢の検討、エクササイズそのものの検討などが今後の課題である。
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