研究概要 |
実験室的研究では、Monodのクリティカルパワー(CP)分析をランニングに応用し、重量負荷の走パフォーマンスへの影響を調べた。測定は無負荷、重量負荷でそれぞれ(90,100,110%Vo2max強度)3スピードで計6回トレッドミル走を疲労困憊に至るまで行った。その結果、y軸に仕事量(体重×移動距離)、x軸に継続時間をおくと両負荷回帰直線は同一であり、無負荷と重量負荷に関わらず継続時間は1本の回帰直線で表現されることが明らかになった。無負荷と重力負荷で走って同じエネルギーを消費するなら、無負荷の方が継続時間が長いということが分かった。重量負荷は走パフォーマンスに大きく影響しており、走距離の継続時間は距離と体重に規定されていることから、体重の減少により記録の向上が得られると考えられる。そして、距離×体重と移動距離の回帰式を求めることで、記録の推定が可能であることが示唆された。 フィールド的研究では、現場で簡易に利用できる個人の潜在的走能力や適正の評価と有酸素的能力を効率良く向上させるトレーニング処方を開発することをねらいとして、高校生を対象にした追加実験を行った。1000mと1500mの走記録から求められるクリティカル速度(Critical Velocity以下CV)とOBLA,乳酸性作業閾値(Lactate threshold以下LT)との関連性について調べた。その結果、CVとOBLAの間には、r=0.836,CVとLTの間には、r=0.748と高い相関関係が認められた。
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