愛知県刈谷市の都市景観について、親子という市民の参加による「景観への気づき」をもたらすように研究実践を試みた。当初の研究計画にあるように、南北に長い刈谷市の景観を三つに分け、北から三つの小学校校区を核とした景観区域を設定した。 研究に当たっては、刈谷市教育委員会学校教育課の紹介から、富士松南小学校、小高原小学校、双葉小学校の三校に協力してもらい、主に4学年児童を持つ親と児童から、調査参加希望者を募った。積極的な協力を申し出た保護者は約1割と少なかったものの、「依頼されれば協力する」との回答を得た親子を入れ、約280組程度の参加者を得ることに成功した。景観写真は「21世紀に残したい刈谷の風景」と題して、「使い切りカメラ」(レンズ付きフィルム)を配布し、昨年10〜11月にかけて撮影を実施した。現像されたプリント写真には、親子でコネント文を記入してもらい、現在分析している。 未だ、集計は終わっていないが、現在までに、著名な市内の景観ポイントに加え、個人的な感性によって選んだ景観も見出だされつつあり、興味深い結果が得られつつある。また、研究に協力した教師の中には、この試みに関心を強く抱く者もいた。 3月21日〜29日には、刈谷市中央図書館において「親子で撮った風景写真展覧会」を催す予定である。ここに見学にくる市民の感想も収集することで、市民の景観に関する感受性を把握したいと考えている。以上にように今年度の研究計画については、ほぼ順調に進んでいるので、次年度にもつなげていきたい。
|