研究概要 |
今日のコミュニケーション形態は、単一のメディアを媒介とするコミュニケーションから、多媒体を融合するマルチメディアによるネットワークを介してのコミュニケーションの形態に移行しつつある。そこでは、膨大な情報ネットワークでのコミュニケーションと関わり多様なシンボルの読み書き能力を必要とする。伝統的な文字の読み書き能力としてのコミュニケーションリテラシーから、複合的なシンボル操作能力としてのコミュニケーションリテラシーが必要となってくる。 本研究では、子どものマルチシンボル操作能力を彼らのメディアに対する先有知覚と固有の情報処理である認知スタイルとの関係で抽出し,その特徴を明らかにすることを本年度の目的とした。仮説的には,1)対象とする主題に関わり「テーマを文脈を強調する中で多様に表現する」場合にはマルチシンボルの交差を中心とするシンボル操作が要請され,そこではメディアの先有知覚のうち複合的メディア特性が関与し,2)「テーマを文脈から独立したそれ固有で特徴的に表現する」場合にはメディアに対する先有知覚の優先的知覚特性が関与し,特定シンボルの操作が特に要請される,と想定される。 そこで,社会科の課題解決学習を対象に、課題解決に必要とされる学習者個人の情報活動を手がかりに、シンボル操作に関わる特徴を把握した。具体的には、情報の受信に関わるメディア活動と、情報の発信に関わるメディア活動を区分し、特徴を分析したところ、メディア行動が活発な子どもとそうでない子どもでは、受信と発信におけるメディアにおいて、対照的な特徴のあることが把握された。
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