研究概要 |
本研究の最終年度にあたる平成10年度は、子どものマルチシンボル操作能力を彼らのメディアに対する先有知覚と固有の情報処理である認知スタイルとの関係で抽出し,その特徴を明らかにした。メディアに対する先有知覚の尺度を構成した後、マルチメディアを組み込んだ授業を単元レベルで設計し、その実施の後、子どもの先有知覚を測定することで、1)子どもに占有的なシンボル操作の特徴と個人差、2)シンボル操作と子どもの情報処理の相互作用、3)シンボル操作とメディアの先有知覚との関係を検討した。その結果、メディアに対する好意的態度の子どもはそうでない子どもに比べてメディア行動が広いこと、多メディアを駆使し多シンボル活動を行う子どもは情報収集メディアと情報発信メディアに対する態度は類似しているが、そうでない子どもは、発信メディアと受信メディアに対する態度に大きな違いがみられた。また、一般にメディアに対する好みとメディアに対する容易性は強い関係があるが、マルチメディアとしてのコンピュータは、好むメディアであるが困難度が高く、他のメディアとは異なることが示された。以上、本研究により、シンボル操作とメディア行動に関する基礎的知見を得ることができた。
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