研究概要 |
関連文献の収集を行った。音響学的な論文とリスニング関係の論文が中心である。音響学的な論文では,MCLなど聴感覚に関する文献と室の条件や音響的条件に関する論文である。興味深いのは,室内にスピーカ1個だけでは受聴位置により日本語及び英語の受聴明瞭度に有意差が生じるが,適当な個数のスピーカを適切に位置すると,その差を有意差未満にすることができるという知見である。しかし,この知見中にはスピーカの特性は考慮されていないようである。 NHKに照会し,外国語放送と日本語放送の出力について調べた。その結果,海外から送信されてくる放送は何も手を加えず,そのまま出力し,副音声については6dB出力を低くしていることが判った。したがって,理論上は6dB出力を上げることにより,主音声と同一の出力が得られることになる。 国立の研究期間に所属する研究協力者との打ち合わせを3回行い,次のような実験計画を立てた。 あらかじめ,聞いた内容について試験を行うことを被験者に教示し, (1)日本人英語学習者にいくつかの日本語の文章を呈示し,受聴音圧を測定する。。 (2)日本人英語学習者にいくつかの英語の文章を呈示し,受聴音圧を測定する。 ここで,日本語と英語の文章はカウンターバランスして呈示する。 さらに可能であれば,英語を母語とする日本語学習に対し,同様の実験を行う。刺激のレベル差の大きな素材は避けるべきである。 騒音計による計測で,昼間では騒音レベルが50dB以下の教室を探すことは非常に困難であることが判り,実験では無教室またはスタジオを使用する予定である。実験では,騒音計は三脚により固定するが,実験で使用するスピーカの特性については,さらに検討が必要である。また被験者が設定したレベルを知らせることなく,被験者が受聴レベルを変えることができるように実験装置をできるだけ簡便な方法で設計する。
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