本研究は、ホリスティックな教育観すなわち〈論理的思考と直観〉、〈心と身体〉、〈知の様々な分野〉、〈個人とコミュニティ〉、〈自我と自己〉各々の〈関わり〉に焦点をあてた教育のあり方を志向して考察をすすめる。 ホリスティックな教育では、身体活動はイメージワークとの併用によりメタファー化される。本研究は子どもを対象に、主として(1)身体感覚の気づき(2)生命への畏敬の念(3)非暴力によるコミュニティ形勢への態度に関わる内的感情を、身体活動を通して体験・表出できる教材を作成したい。 今年度は、インターネットによる情報検索・文献講読および講習会参加等により、心身のつながりを重視するホリスティックな教育活動または社会活動の諸資料・教材を収集し、それらの中で身体活動がどのように心の教育と関わり合って取り扱われているのか・また学習プログラムの中でどのような役割を果たしているのかを調査した。収集された資料・教材は以下のa〜eの領域に分類できる。 a.ホリスティックな教育に関する総論的な研究や実践事例(シュタイナ-教育を含む研究書及び教材) b.アートセラピーに関する理論や実践事例(ダンスセラピー研究書及びミュージックセラピー教材) c.既存のダンス教育に関する理論や実践事例(国内外のダンス学習指導書及び教材) d.エコロジカルな自覚を促す環境教育に関する理論や実践事例(ネイチャーゲーム指導書及び教材) e.非暴力による平和教育に関する理論や実践事例(非暴力と子どものためのプログラム指導書) 次年度以降は、資料の調査・分析を継続し、各教育論および事例から上記(1)〜(3)の理念を象徴すると思われる活動を抽出し、それらを身体活動の中核として統合した教材案の試作に取り組みたい。
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