数学史を用いた高校数学教育システムの開発

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09878046
• 研究機関: 東海大学
• 研究代表者: 平野 葉一 東海大学, 教育研究所, 教授 (20189856)
• 研究分担者: 河村 勝久 東海大学, 教育研究所, 助教授 (70119668) ; 中村 義作 東海大学, 教育研究所, 教授 (20109200) ; 秋山 仁 東海大学, 教育研究所, 教授 (00096942) ; 板井 昌典 東海大学, 理学部, 助教授 (80266361)
• キーワード: 数学教育 / 数学史 / 数学教育方法

研究概要

本研究の目的は高校数学教育における数学史活用のための教員用マニュアルおよびCD-ROM作成であるが、平成11年度においては、研究最終年を迎えて具体的な実践を含めたまとめに向けての研究を行った。特に、東海大学付属高校の数学教員の協力もあり、作成資料(テキスト)の検討、実際の授業での活用を踏まえた共同授業なども試みた。研究活動および成果以下の通りである。
1.数学史に関する教員用マニュアルに関しては、特に2003年からの高校数学教育改訂を念頭におき、授業での生徒たちの作業的・実践的活動が可能になる事例の収集を行った。特に新しい数学基礎との関連を考えた「黄金比」に関しての資料の充実、科学実験との関連をも考えた「指数・対数関数」が中心であった。また、ブールを中心とした集合・論理に関する研究、数学パズルに関する歴史的考察も行った。
2.CD-ROM制作に関しては、Internetの普及を考慮してホームページ形式(htlm形式)とすることにした。特に、ピタゴラスからケプラーまでの数学と音楽の歴史展開を基礎とした内容の作品は、高校教員と担当の生徒たちの協力もあり、現場に即したものとなった。
3.データベースの作成では、数学史関連項目を約100点選び、その歴史関連文献(約1500件)を収集した。現状では文献リストの形だが、今後内容を含めてデータベース化する予定である。
具体的な成果に関する口頭発表は以下の通りである。
平成11年12月3日・4日 数学史および数学教育に関するWorkshop開催(発表論文集作成中)
論文報告:「数学史の通時と共時:本Workshopへの問題提起として」
「ブールの『思考の法則』についての研究」など3件
平成12年1月13日 韓国・ソウル、団体Mathlove主催のMath-Festivalでの招待講演
「数学博物館と数学教育-数学史的視点からの考察を含めて」

研究成果

• [文献書誌] 秋山仁、河村勝久、平野葉一、他: "数学教育的視点から見たMathematical Art展の意義"東海大学教育研究所紀要. 第6号. 85-97 (1999)
• [文献書誌] 平野葉一,中村義作: "ブールの『思考の法則についての研究(An Investigation of the Laws of Thought)』について"数学史および数学教育に関するWorkshop(口頭発表、東海大学). (1999)
• [文献書誌] 中村義作,平野葉一: "アルキンの『若者を尖鋭にする問題(Propositions ad Acuendos Juvenes)』について"数学史および数学教育に関するWorkshop(口頭発表、東海大学). (1999)
• [文献書誌] 平野葉一: "数学史の通時と共時:本Workshopへの問題提起として"数学史および数学教育に関するWorkshop(口頭発表、東海大学). (1999)
• [文献書誌] 平野葉一: "数学博物館と数学教育-数学史的視点からの考察を含めて-"韓国、ソウル、団体Mathlove主催 The 2^<nd> Math-Festival(口頭発表). (2000)
• [文献書誌] 河村勝久,平野葉一,中島洋介,高木公子: "新教育課程における数学教育-「生きる力を育む教育」に関する-考察-"東海大学教育研究所研究資料集. 第7号. 101-111 (2000)
• [文献書誌] Jin Akiyama, Yoichi Hirano, Toshinori Sakai: "Nonstandard Ways of Teaching Standard Mathematics"SEACME8(第8回東南アジア数学教育会議、マニラ、フィリピン). 7-33 (1999)