研究概要 |
本年度は、主として理論的枠組みを検討しプロトタイプシステムを実装した.また,実装試験を通して理論の妥当性と更なる洗練を実施した. 1.認知心理学的に検証されている「専門家は自分が問題解決に使った知識を明示的に記述することは得意ではないが,具体的な事例に関してはその正当性や非正当性を的確に指摘できる」と言う事実に着目し,「更新前に正しく解けた問題は更新後にも正しく解け続け,更新以前には解けなかった問題が新たに解けるようになるために必要な知識のみを,その正当性を,既知の一番近い知識との差として明示的に記述する方法」を基本とするリップルダウンルール法を実装し,知識ベースの内容が可塑的に変化することを許す可塑性型知識ベース構築の基礎理論を検討した. 2.試作したプロトタイプシステムにて,リップルダウンルール法による知識獲得の性能を複数の性質の違ったベンチマーク用のデータを用いて評価した.その結果,データから帰納推論する知識獲得法に比べて,学習速度,ノイズ,データの一部欠損などに対して,本手法は非常に有効であることを確認した. 3.複数結論を扱う問題,属性値として連続値をとるデータの扱い,より複雑な条件判定など高度化のための課題を整理した.
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