研究概要 |
1.サブサイクルレーザーパルスによる電子加速における多段加速方式について解析して,高エネルギー極限において総対論的因子γがレーザー光の振幅a_0の3分の2乗に比例することを明らかにした。これから,この方式で電子を超高エネルギーまで加速するには非常に多くの加速ステージが要求され,従って電子の超高エネルギーへの加速にはこの方式はあまり適さないことが分かった。 2.サブサイクルレーザーパルスで加速されたマイクロバンチした電子群からのシンクロトロン放射光について解析を行い,放射光がコヒーレント光になるための電子群に対する条件や,またソフトX線領域でコヒーレント放射光を得るための条件等を明らかにした。さらに実空間1次元の粒子シミュレーション結果を基にして,シンクロトロン放射光の輝度(brilliance)に関する計算も行った。固体フォイルターゲット(密度 10^<23>cm^<-3>)を用いた場合を考えると,(1)電子エネルギーが50MeVでは,フォイルの厚さが0.01〜1μmではシンクロトロン放射光は大体λ>100nmの波長に対してコヒーレント光になること,また(2)電子エネルギーが200MeVでは,フォイルの厚さが0.01〜1μmでは大体λ>10nmの波長に対してコニーレント光になること,そして(3)電子エネルギーが1GeVと高エネルギーになると,フォイルの厚さ 0.01〜0.1μmでは放射光は大体λ>1nmの波長に対して(即ち,ソフトX線領域の波長に対しても)コヒーレント光になることが分かった。 3.サブサイクルレーザーパルスとフォイルターゲットとの非線形相互作用及び付随する電子加速を解析するための実空間2次元,速度空間3次元のPIC粒子シミュレーションコードの開発も進めており,現在テストランを行っている。
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