研究概要 |
従来の受動的な放射線計測とレーザーによる能動計測の融合として,レーザーゲート法を考案した. レーザーゲート法の原理は,まず中性子やγ線などの放射線に対して荷電粒子を生成する反応断面積が大きく,光に対して透明な物質を検出器とする.放射線は検出器中の物質と反応し荷電粒子を生成し,そのトラックの近傍の屈折率変化を引き起こす.この検出器にレーザー光を照射するとトラック近傍を通過した光の成分が屈折と回析により光の進行方向が曲げられる.透過光の光路上に高調波発生用のKDP結晶を設置し,その角度のチューニングをわざとずらし,高調波発生効率をゼロに近づけておく.放射線信号のある場合にのみ高調波光が発生する.これをストリークカメラ等で観測する.この方法の特徴は,光のレベルでゲートをかけるため,原理的に非常に高速なゲーティングが可能となることである. 本年度はレーザーゲート法の原理的可能性を調べるための実験を準備中である.このために小型のYAGレーザを立ち上げ,この実験に使用するために光学系の一部改造などを行った.また本方法の提案とレーザープラズマからの放射線計測について,実験室宇宙物理学ワークショップ(アリゾナ・ツ-ソン,3月19日-21日)で発表した.
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