研究概要 |
愛媛県下の石手川ダム湖を調査対象として,湖底堆積物の質的変動がそれに先立つ湖水中の藻類生産の変動を反映するか否かについて,特に堆積物中のアルカリ金属及びアルカリ土金属に着目して検討した。 1.ダムサイトから0.26km上流の流木止(水深約40m)を主調査地点として,1978年1月以降に毎月1度行ってきた水質と懸濁物の調査に,1997年8月から湖底堆積物のコアサンプルの採取と分析とを加えた。また,水深10mと30mとにセディメントトラップを設置して,8,9月は月に2回,10月以降は月に1回容器を交換して,内容物を採取し,堆積状況を検討した。 2.主調査地点を含む湖内6地点と流入河川水について毎月1度水温と電気伝導度の鉛直分布の測定を行い,湖水の成層状況と密度流が流れる深さなどを検討した。また,多数の水深で懸濁物の質と量の検討を行い,主調査地点の湖底堆積物の性質と比較検討した。 3.成層期の8月に主調査地点及び上流の2地点でコアサンプルを採取,分析した。 4.主調査地点における20年間の水位と水深の調査記録から,この地点では平均して毎年約17cmの厚さで堆積していること,従って,1984年以降毎年2月と8月にエクマンバージ採泥器で採取・風乾・保存してきた湖底堆積物試料(約9cm厚)28点が,それぞれ約6ヶ月間の堆積物に相当することが分かった。これらの堆積物は,堆積物中のMgが湖水中の藻類生産を反映することを示唆しており,今後1,2,3の調査結果を蓄積したのち,検討を深める予定である。
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