研究概要 |
閉鎖海域内の富栄養化対策として、工場排水や生活排水中の窒素除去は緊急の課題となっている。本研究は、微生物を活用して、希土酸化物の生産過程で生ずる硝酸アンモニウム(硝安)排水中の効率的な窒素除去法を確立することを目的として以下の実験を行い、結果を得た。 1.NH_4^+,NO_3^-,NO_2^-の効率的な定量法を検討し、それぞれ、アンモニウム発色試薬A及びB(平沼産業)を用いる比色定量法、硝酸還元酵素を用いる酵素法、スルファニルアミドおよびN-1-ナフチルエチレンジアミン塩酸塩を用いる比色定量法を確立した。 2.NH_4^+とNO_3^-の両者をN源として利用し、反応液中から両者を除去する菌株の分離を試みた。集積培養の段階において、好気培養によりNH_4^<1+>を、嫌気培養によりNO_3^-を反応液から完全に除くことができた。しかし、単一菌株を用いた場合は、NH_4^+とNO_3^-の両者を除くことはできなっかった。 3.次に、複数の菌株を用いたNH_4^+とNO_3^-の両者の除去法を検討した。この目的のため、NH_4^+を除去するNo.5株とNO_3^-除去菌NO.27株の組み合わせた。すなわち、まず、嫌気条件においてNO.27株を用いてNO_3^-を除去し、次に、NO.5株により好気的にNH_4^+を除去した。本法により、0.1%NH_4NO_3を完全に除去することができた。また、反応液中にNO_2^-が全く生成しなかったことは、これらの菌株を実用に供した場合、有利な点であると思われる。 4.次年度では、単一菌によるNH_4NO_3の除去法を検討する予定である。
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